定款
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定款(ていかん)とは、 社団法人(会社・公益法人・協同組合等)の目的・組織・活動・構成員・業務執行などについての基本規則、また、それをしるした書面・記録である。社団法人とはいえないような特殊法人(日本銀行)の根本規則も定款と呼ばれる。財団法人の寄附行為に相当する。
(以下は民法上の社団法人と会社法上の株式会社を例に説明する。)
目次 |
定款の作成
発起人や設立時社員など、法人を設立しようとする者が作成し署名又は記名捺印する(民法37条、会社法26条1項)。定款の記載事項には以下の分類がある。
- 絶対的記載事項
- 法律の規定によって、定款に必ず記載しなければならない事項
- 相対的記載事項
- 法律の規定によって、定款に記載し無ければ効力を持たないとされている事項
- 任意的記載事項
- 定款への記載は効力要件では無いが定款に記載される事で変更に厳格な手続を要するという点で強力な効果を持つようになる事項。法律の規定に違反されない限り認められる。
この分類のうち民法法人には、任意的記載事項や相対的記載事項に関する条文が無かったため、その有効性等に学問上、疑義があった(但し、判例は任意的記載事項の有効性は認めていた。)。しかし、民法の「法人」に関する規定は、2008年12月1日をもって廃止され、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(いっぱんしゃだんほうじんおよびいっぱんざいだんほうじんにかんするほうりつ。以下、「一般法人法」と呼ぶ。)に改組されるにあたり、同法12条によって、一般社団法人ないし公益社団法人(≒現行法の民法法人)の定款にも任意的記載事項及び相対的記載事項が認められる事が明文化された。一方、会社法上の法人については最初から上記の三つの記載事項の存在が予定されている条文がある。(会社法第29条・同法577条)
記載事項
社団法人(民法)
- 絶対的記載事項(民法37条)
- 目的
- 名称
- 事務所の所在地(原則として○○市○○町○○丁目-○○ のように所在地を特定できることが必要。)
- 資産に関する規定
- 理事の任免に関する規定
- 社員の資格の得喪に関する規定
※設立または結成年月日を表示することが望ましい。
一般社団法人(一般法人法)
- 絶対的記載事項(一般法人法第11条)
- 目的
- 名称
- 主たる事務所の所在地
- 設立時社員の氏名又は名称及び住所
- 社員の資格の得喪に関する規定
- 公告方法
- 事業年度
- 相対的記載事項(一般法人法第12条他主なもの)
- 社員の議決権に関する別段の定め(一般法人法第17条)
- 社員提案権の請求期間に関する別段の定め(一般法人法第43条)
- 理事会・監事・会計監査人の設置(一般法人法第60条)
- 理事による免除に関する規定(一般法人法第114条)
- 責任限定契約(一般法人法第115条)
- 任意的記載事項(一般法人法第12条)
(注1) 社員に剰余金又は財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定め、決議、一般社団法人の行為は効力を有しない。(一般法人法第13条他)
株式会社
- この節では、会社法は条数のみ記載する。
絶対的記載事項(27条)
相対的記載事項(主なもの)
- 変態設立事項(28条):原始定款に記載しなければ効力はない。
- 公開会社でない会社の、株主の権利に、株主ごとに異なる取扱いを行うことの規定(105条)。
- 株式の内容(107条2項 108条2項)
- 公開会社でない会社の、取締役が株主でなければならない旨の定め(331条)。
- 相対取引による自己株取得の際に、株主の請求権の規定(160条2項3項)を適用しない旨の規定(164条2項)
- 取締役会設置会社で、市場取引等により自己株式を取得することを取締役会の決議によって定めること(165条)
- 単元株式に関する規定(189条1項・2項)
- 株主総会決議の定足数等の変更に関する規定(309条)
- 取締役・監査役の任期の変更に関する規定[2](332条1項・2項 336条2項・3項)
- 累積投票制度の排除規定(342条1項)
- 代表取締役その他株式会社を代表する者の定め、又は定める方法(349条1項、3項)
- 取締役会の招集通知の期間の短縮に関する規定(368条1項)
- 取締役会の定足数・決議要件の加重に関する規定(369条1項)
- 取締役会の決議の省略(第370条)
- 剰余金の配当等の事項の決定を取締役会に授権する定款の定めがある場合に、株主総会ではその事項の決議を排除する規定(459条等)
任意的記載事項(主なもの)
- 定時株主総会の招集時期に関する規定
- 基準日(124条)
- 事業年度に関する規定
- 取締役、監査役の数
- 種類株式
- 配当金に関する事項
絶対的記載事項の比較
| 絶対的記載事項 | 社団法人(民法) | 一般社団法人 | 合名会社 | 合資会社 | 合同会社 | 株式会社 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 目的 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 名称又は商号 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 主たる事務所又は 本店の所在地 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 社員の氏名又は名称及び住所 及び 各社員の責任の限度に関するする規定[a]。 |
× | × | ○ | ○ | ○ | × |
| 社員の出資の目的 及びその価額又は評価の標準 |
× | × | ○ | ○ | ○ | × |
| 発起人又は設立時社員 の氏名又は名称及び住所 |
× | ○ | × | × | × | ○ |
| 設立に際して出資される財産 の価額又はその最低額 |
× | × | × | × | × | ○ |
| 発行可能株式総数 | × | × | × | × | × | ○ |
| 公告方法 及び事業年度 |
× | ○ | ×[b] | ×[b] | ×[b] | ×[b] |
| 資産に関する規定 理事の任免に関する規定 |
○ | × | × | × | × | × |
| 社員の資格の得喪に関する規定 | ○ | ○ | × | × | × | × |
(注意)
- a 各社員の責任の限度にかんする規定とは、合名会社は「社員の全部を無限責任とする旨」、合資会社は「社員の一部を無限責任社員とし、そのほかの社員を有限責任社員にする旨」、合同会社は「社員の全部を有限責任とする旨」の規定の事を言う。
- ① ② ③ ④ 任意的記載事項である。しかし会社の公告方法は定款に記載のない場合には官報によってすると定めたものと擬制される。
定款の成立
株式会社の場合には会社法30条が「公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない」と定めており、公証人による定款の認証作業が必要となる。一方、民法上の社団法人の場合には「主務官庁の認可」が必要となる(民法37条2項)。
定款の変更
定款変更とも。定款は社団法人の根本規則であるので、どの社団法人においても、定款変更には、普通よりも加重された決議要件が課されている。また、民法上の社団法人は、定款変更の際には、社員の一定数の同意の他に、主務官庁の認可が要求されるという厳しい条件が定められていた。
しかし、公益法人制度改革関連3法では、公益法人の定款変更に関して、行政庁が裁量権を働かせない事が原則とされ、実質的に定款変更の要件が緩和された事から、一般社団法人は、定款変更の際に主務官庁の許可等は要しないものとされ、公益認定により公益社団法人[3]となった後も「主務官庁の許可」[4]は原則的に必要とせず、ただ定款変更決議後、「行政庁への届出」をすれば良いことになった。但し、公益事業の質的又は量的変更を来たす定款変更は、今まで通り「主務官庁の許可」[4]が必要とされている事に注意を要する。(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下「公益法人法と呼ぶ。」)第11条 同法13条)
社団法人(民法)
- 総社員の4分の3以上の同意が必要(民法38条 定款に別段の定めが出来る。)
- 主務官庁の許可を受けなければ効力を生じない。
一般社団法人(一般法人法)
- 社員総会において、総社員の半数以上であって、総社員の議決権の3分の2以上[5]の賛成が必要。(一般法人法第49条 同法第146条)
株式会社(会社法)
持分会社(会社法)
- 総社員の同意を要する。(会社法第637条)
電子定款
設立時に作成される定款の原本(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、相互会社に限る)は、印紙税法により課税文書とされ、収入印紙を貼付なければならない。しかし、当該原本を電子文書で作成した場合、同法による文書には該当しないとされていることから、4万円の節税となる。 従来、電子定款の認証を行うことができる公証人の数が少なく、設立する県によっては電子定款によるメリットを受けることができないという問題点があったが、2007年4月、ようやく全都道府県での利用が出来るようになった。
語註
- ^ 発行可能株式総数は、原始定款に定める時は、会社の設立までに定めればよい。この点、他の株式会社の絶対的記載事項と性質を異にする。
- ^ 取締役の任期の伸長、短縮、監査役の任期の伸長・補欠監査役の任期の短縮に関する規定
- ^ 公益社団法人とは公益法人法に基づいて、公益認定を受けた一般社団法人を言う。
- ^ a b 民法上の「主務官庁の許可」は、一般法人法上は「行政庁の認定」と記載される。
- ^ これを上回る割合を定めた場合にあってはその割合

